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1月13日 新年ご挨拶(遅ればせながら)
1月24日 某洋菓子店からの教訓
2月07日 暖冬
2月24日 テレビ局の捏造
3月13日 タイアップ取材
3月17日 FOODEX JAPAN そして、接客について
4月28日 GW営業について
5月12日 新しい角丸のざる蕎麦
6月09日 6月14日からの挑戦
6月19日 角丸の新しいざる蕎麦・追記
6月27日 値段と中身
6月30日 値段と中身・補足
7月06日 山形行(前編・講習会)
7月10日 山形行(後編・山長さん)
7月30日 お盆休みのお知らせ
9月14日 ブログを拝見して
9月26日 職人展
10月27日 食の安全
12月26日 年末年始休暇のお知らせ
12月31日 年末ご挨拶

12月31日 大晦日です。
       大晦日と言えば、年越し蕎麦。
       かなり大きなマーケットのようです。
       しかし、スーパーやコンビニに持って行かれ、麺類店では営業を行う店も少なくなりました。
       角丸も、そのひとつです。
       実は、今年は、蕎麦だけで、31日の営業をしようかと、ずっと考えていました。
       実際、一年で一番忙しい日だと仰る方も多く、魅力を感じたのです。
       でも、角丸といえばみそ煮込み。
       暖簾を出す以上、みそ煮込み無しで営業するわけにもいかないだろうと思い、
       みそ煮込みを出すと、通常営業と変わらなくなってしまうな、との思いから、
       今年もお休みをいただき、自家用分だけ蕎麦を打ちました。
       朝からひっきりなしに「営業してますか」電話が鳴り続けるなか(すいません、留守番電話で対応しています)、
       どれが正解だったのか、今でも後ろ髪を引かれる思いです。

       ただ、私がちゃんとこさえた麺だけを売る、というスタイルを維持しようとすると、
       無休にするわけにも行きません。
       ある程度、大量生産できるシステムを確立すれば、私は休んで、従業員だけで
       年末年始も営業できるのでしょうが、今のところ、それは怖いです。

       お客様も、角丸の職人的な部分に惹かれていらっしゃるのではないかと思います。
       当然、商売ですから、お金儲けが一番優先なのですが、譲れない一線があって、
       そこだけは守りたいと強く思います。
       老舗の色々なニュースを耳にするにつけ、その思いを一層強く持たなきゃな、と思います。

       ●

       毎年、暮れになると、食べ終わったお客様が、「また来年もおいしいのを頼むね」などと、
       声をかけて下さいます。
       角丸で、今年のランチを締めようと思ってくださる方も多くいらっしゃいます。
       非常にありがたいことだと思います。
       角丸を可愛がって下さる皆様のおかげで、今年もつつがなく終えることができました。
       来年も、今までどおり、手抜きせず、しっかりしたものを、そしてもっとおいしいものを作れるように、
       精進してまいります。それが一番の感謝の方法だと信じて、来年を迎えたいと存じます。

       皆様、良いお年をお迎えください。


12月26日 年末年始営業のお知らせ

        年内は、12月29日(土)まで営業します。
        ただし、土曜日ですので14時までの営業ですが、
        みそ煮込みが売り切れたら、早終いもございますので、ご注意願います。
        年始は、1月7日(月)より営業いたします。

        よろしくお願いいたします。

10月27日 更新があいている間には…

        先週後半から、蕎麦が新蕎麦になりました。
        ただ、久野製粉さんの保存技術の素晴らしさのおかげか、
        あまり風味が強いとは言えない、現在の角丸の蕎麦粉のタイプのせいか、
        それほど、ヒネ(去年の蕎麦)と劇的な差はありませんでした。
        言葉を返せば、年間通じてレヴェルを保てているということです。
        色味もほとんど変わりませんが、食べてみると蕎麦の風味が若干強く感じられました。
        もちろん、もともとはんなりした白系の粗引きの蕎麦粉ですから、
        決して風味に勝る蕎麦ではありませんが、やはりヒネよりは風味が強い。
        分かりづらい差だとは存じますが、ぜひご賞味いただきたく存じます。

        また、これも先週後半から、牡蠣が入荷しました。
        これも例年同様、大粒で味のよい牡蠣が入っております。
        みそ煮込みに牡蠣が入ると、なぜあんなに美味しくなるのでしょう?
        今年も、牡蠣の追加分に関しては、儲けはほとんどありませんが、
        お値段は1000円に据え置いて、ご提供いたします。

        ●

        先週末、鳥羽へ行ってまいりました。
        いや、衝撃的でした。ニュースで知ってはいたものの。眼の前にすると、やはり。
        
        そうです。赤福さんです。
        あの老舗が。あのおかげ横丁を作り、地域貢献もされる立派なお店が。
        あれほどのお店でも、お客様を裏切ると、とたんにこういうことになる。
        白い恋人でも、名古屋コーチンでも、なんでもそうですが、
        やはりお客様を騙して商売が成り立つはずがない、その思いを新たにいたしました。
        そして、慣れてしまわないように。
        いつまでも、手を抜かずに商品をお出ししたいと思います。

        赤福さんも、冷凍している事実を公言しても良かったように思います。
        現在の冷凍技術は進歩しており、この方法をとることで、安定して供給ができます、と。
        (売れ残り云々は論外ですけど)
        しかし、食品と言うものは、イメージが大事で、イメージに味わいまで大きく左右されてしまうものです。
        だから、イメージのために嘘が必要だったのでしょう。

        ●

        海べりで魚介を焼いている、今眼の前の海で獲ってきたばかりの魚介が並びそうなイメージ。
        信州の清涼な気候のなか、綺麗な水と清々しい空気で、
        獲れたて挽きたて打ちたての蕎麦が食べられそうなイメージ。
        食べ物には演出は必要です。
        私だって、どうせなら美味しそうなシチュエーションで美味しいものを食べたい。
        だけど、そこに嘘があっては台無しです。
        我々消費者は、イメージに左右される事無く、本質を見極めなければならないのではないでしょうか。

        赤福には怒ってみせる、でも買う和菓子は添加物だらけのまがいもの。
        名古屋コーチンには失望する、で、抗生物質の味がするブロイラーを買う。
        スーパーで買った野菜に虫食いがあると抗議する、で、農薬まみれの野菜に満足する。
        何かに怒るのは結構です。テレビも、一斉に赤福を非難するのも仕方ないでしょう。
        でも、声高に叫ぶ「食の安全」って、ほんとうにそういうものでしょうか?

        赤福を叩く、それだけではきっと見えてこない、本当の「食の安全」を考えさせられるこのごろです。



9月26日 まだまだ暑いですね。秋の訪れはいつになるのでしょうか?

       今月半ばに、今シーズンのひやむぎとささめを終了しました。ありがとうございました。
       例年なら、9月にはいってすぐ、ころも一緒にやめるところですが、今年はいまだにやっています。
       しかも結構ご注文をいただきます。
       一度終わりに決めて、残ったつゆをパートさんにあげたこともあるのですが、
       翌日あまりにも暑くて、すぐに復活してしまいました。
       昨日も多くのご注文をいただき、今年はいったいいつまでやるのでしょう?
       今週いっぱいが、ちょうど9月いっぱいですので、そこを区切りにできるかな、と思っているのですが…。

       さて、今週末ですが、栄のオアシス21で、恒例の「尾張名古屋の職人展」が開催されます。
       28日金曜日16時からは、手打きしめんの実演も予定されていて、
       「水回し」から「はま捏ね」までを中村区葉栗屋の稲葉さんが、「延し」と「包丁」を私が担当します。
       手打コンテストのページでも書きましたが、稲葉さんは同時期に手打を始めたもの同士、
       ライヴァル意識も強いですし、お互い認め合ってもいます。いつも情報交換している仲です。
       大役に緊張しますが、精一杯努めますので、お近くの皆様、ぜひお運びいただき、
       名古屋手打に関しての理解を深めていただければ、幸いに存じます。



9月14日 更新の日が空いてしまいました。申し訳ありません。
       そのサボっている間のことですが、北海道土産で、有名なお菓子が、
       賞味期限を改竄しているというニュースが流れました。
       そんなに痛んでいないから、という気持ちは分からないわけではありませんが、
       私は、絶対にそこを厳しく自分に課しています。

       ●

       夏期休暇の間など、インターネットで、「角丸」を検索してみました。
       「角丸 煮込」「角丸 蕎麦」などなど。
       すると、想像していたより、遥かに多くのブログを発見することができました。
       あれのために、皆さん写真を撮ってお見えなのですね。
       普段、ブログ巡りをしたことがないので、非常に興味深く、
       かなりの時間を使って、かなりの量のブログを拝見しました。

       ほとんど、90%以上、好意的な書き込みが多く、非常に嬉しく思います。
       ネットでは、辛口コメントが多いように思うのですが、角丸にお越しくださった方のほとんどは、
       ご満足いただけたようで、これほど嬉しく思うことはありません。
       中には、私のことを、「イケメン」と評して下さる方までありまして…。こそばゆい気持ちです。
       しかし一方、否定的な意見もありました。
       否定的な意見の中には、主に3パターンあり、
       ひとつは、その通りだ、反省しなきゃ、と思える、筋の通ったクレームですね。
       ふたつめは、これはちょっと的外れじゃないか、と思われるもの。
       角丸の中華そばのスープは鶏がら、と断言してあるものもありまして、苦笑します。
       みっつめは、明らかに悪意のあるものです。
       私が悪意をもって、ごまかし商売をしているような記載を見つけたときは、本当に残念な気持ちでした。
       (焼き鳥「きさちゃん帝国」でその話を愚痴っていたら、きさちゃんも同様の経験があるそうです。)

       ブログにはコメントを書く欄がありますが、私はどのブログにもコメントいたしません。
       いちいち口で反論するより、麺を以って語りたい、というのが信念だからです。
       角丸は昔から、多くのお客様に愛していただき、支持していただいて成り立っています。
       それが私のプライドであり、拠りどころだと思っています。
       分かっていただけない方もいらっしゃる、それは仕方のないことと考え、
       みっつめの方々の存在は、頭から忘れて、やっていきます。

       ひとつめの方々のご意見は、非常によく分かり、耳の痛い話もありました。
       どうしても、親父と一緒にやっている以上、親父の昔風の考え方を無下にできない部分もございます。
       私にとっても、悩めるところであります。
       例えば、店内での喫煙のご指摘がございました。
       仰るとおりだと思います。私も、できることなら、昼の間だけでも禁煙にしたいとは思います。
       でも、親父は吸ってしまいます。お客様に禁煙にしておいて、それはできません。
       昔から、角丸を支えてきた親父です。自信をもっています。それを否定もできません。

       ただ、少しずつ、前に進んで参りたいとは思います。
       中華そばですが、私は以前、このページで「胡椒なしがおいしい」と書きました。
       それで、「胡椒なし」と注文いただいたのに、胡椒が入っていたケースがあったようです。
       誠に申し訳なく思います。
       親父や母親を説得しまして、角丸の中華そばは、胡椒をかけずにお出しすることになりました。
       たったこれだけのことに、なかなか労力が要るものです。
       老舗とはそういうしんどさを抱えているものです。
       そのしんどさの中で、それでも少しずつでも前進して参りたいと存じます。
       お客様においしいものを召し上がっていただきたい、その思いで毎日汗を掻いているのです。

       ●

       世の中で、信頼ほど得がたく、そして簡単に失われてしまうものもないと思います。
       件の北海道のお菓子会社は、マンネリの中、その認識が薄らいでいったのでしょう。
       私も、その思いをいっそう強く、これからも商売をやっていきたいと思います。
       またお気づきの点がございましたら、メールででもご指摘ください。
       不出来でしたら、叱ってください。
       その声のお陰で、角丸はもっといい店になれる、そう信じています。




7月30日 お盆休みのお知らせです。
      8月 12日(日)定休日
         13日(月)通常営業いたします
         14日(火)通常営業いたします(売り切れで早終いの場合あり)
         15日(水)お盆休み
         16日(木)お盆休み
         17日(金)お盆休み
         18日(土)お盆休み
         19日(日)定休日
         20日(月)〜通常営業いたします

      以上のように、お盆休みをいただきます。
      いつもなら、13〜15日にお休みをいただくのですが、
      今年は市場のお休みが後半で、それに合わせる形になり、
      一般的なお盆休みとずれてしまいました。
      営業的には迷いましたが、角丸の品質確保のために、このような日程に致しました。
      普段、休みが重なり、なかなか角丸にお越しいただけないお客様には、好都合かと存じます。
      暑い折ですが、暑気払いに角丸のみそ煮込みをお召しくださいませ。

7月10日 (前回の山形の続きです。)
       前夜、すっかり酔っ払った私ではありますが、やはり、山形の麺を食べて帰らなければ、
       というわけで、開店間も無い時刻の「第二公園山長」さんへ。

       とりあえず、せいろを。
       
       文字ばかりのHPを作って、普段、写真を撮る習慣がありません。
       そのせいで、途中まで食べてからの写真です。
       すごくすっきりした、しなやかなざるそばです。
       所謂並そばですね。角丸より細かく挽いた蕎麦ですが、こちらが王道。
       角丸の粗引きは、多分に三代目の好みが強く出たものです。
       非常に美味しくいただきました。
       少し小盛りにしてもらいましたが、あっという間に食べてしまいました。
       本山葵を鮫皮でおろして、650円。とてつもなくお値打ちです。

       続いて、山長さん名物の樹氷ラーメンを。
       
       冷たいラーメンの豪華版といった感じでしょうか。
       スープは透明で、濃厚なコクがありながら、さっぱり食べられます。
       化学調味料の味がしないのも凄い。
       冷たいラーメンは化学調味料たっぷりが当たり前なのですが、そこが山川さんの心意気。
       (少量使っているかどうかまでは判別できませんでしたが、少なくとも舌に残る化調はありませんでした)
       前日厨房に入ったとき、大鍋でスープを煮出していましたが、このためだったのですね。
       納得。というより、ラーメン専門店が真っ青になる味です。
       (山形では、冷やし中華にはマヨネーズを添えるそうです。ありゃ、名古屋と同じでびっくり。)

       本当はもう一軒くらい回る予定でしたが、新幹線の時間の都合もあり、
       山長さんでもう一枚、せいろを。
       
       今度は天ざるにしていただきました。
       海老はもちろん、山菜がすばらしい。
       自分の山でとりたてだそうです。贅沢なことだなあ。

       どんどんお客さんが入っていらっしゃって、地元で非常に愛されている感じが伝わってきました。
       素晴らしいお店であり、素晴らしい方です。
       実は、明日11日、東京にて全国麺業青年連合会の総会があり、山川さんとまたお会いできます。
       非常に楽しみです。
       こういう友人に出会える機会って、本当に貴重だなあと思います。

       そして、何より、今回山長さんで感心したこと。
       娘さんがお店を手伝っていらっしゃって、とてもいい娘さんに育っていらっしゃることです。
       平成12年、小学校時代に娘さんが書いた作文を、お店の宴会の時のランチョンマットに
       印刷して使っていらっしゃるそうで、その作文があまりにも素晴らしいので、
       勝手ながら、以下に全文を紹介して、山形紀行文を締めくくりたいと思います。
       山形県青年会の皆様、そして山長の山川さん、本当にありがとうございました。
       このような機会を作っていただき、私も非常に勉強になりました。御礼申し上げます。
       山川さん、そのうち、今度は愛知に呼びますからね。往復10時間、覚悟してください。

       第二公園山長 山形市十日町4-3-8 電話023-622-2963


       

わたしの家はおそばやさん

      わたしの家はおそばやさんです。
      お父さんは、そばやうどんを作る時、とても
     しんけんです。おいしくできるように、粉と水の
     分量に気をつかいます。体全体を使って、心をこ
     めて粉をこねます。同じはばになるように、一本
     一本ていねいに切ります。たれの味にもこだわり、
     納得してからお客さんに出します。
      また、ラーメンにも力をぬきません。スープに
     はたくさんの野菜を入れて、何時間もコトコトに
     こみます。お父さんとお母さんは、
     「お客さんから『おいしい』と言われるのが、何
     よりもうれしい。」
     と、お客さんに心から感しゃしながら、一生けん
     めい働いています。
      お店が終わると、いよいよわたしたち子どもの
     出番です。わたしは、ラーメンをにる所をたわし
     できれいにしたり、下はきをしたりします。アル
     バイトの人といっしょに、どんぶりをふいて重ね
     たりもします。お姉ちゃんは、粉をこねる木ばち
     をふきます。お父さんが気持ちよく仕事ができる
     ように、いつもぴかぴかにします。弟は、
     「何かお手伝いはありませんか。」
     と聞きながら、わたしやお姉ちゃんの仕事を手伝
     います。
      お父さんとお母さんは、わたしたちのために一
     生けん命働いてくれているんだなと思うと、とて
     もありがたく思います。
      わたしは、お母さんたちを少しでも休ませてあ
     げたいから、一生けん命手伝います。するとお母
     さんから、
     「ありがとう。今日とってもおりこうだったな。
     そのおかげで、お母さん、助かったよ。」
     と言われます。そう言われると、とてもうれしく
     なり、「これからも、お手伝いをするぞ。わたし
     が大きくなって、お母さんたちが年をとっても、
     ずっと助けてあげよう。」と思います。






7月6日 新聞紙上を拝見しますと、スガキヤさんは割箸を廃止されるそうです。
      独特の先割れラーメンスプーンで対応されるそうです。
      森林資源を考えると、割箸廃止も仕方ないご時世なのかもしれませんが、
      箸も日本の大事な文化のひとつです。
      ただでさえ、箸の使い方の悪い子供が増えているのに、何だか、さびしい気がします。
      (森林資源を考えるなら、紙の使い方を考えたほうがいいように思うのですが…)

      ●

      先月の16日17日と、山形へ行って参りました。
      山形県麺業青年会会長の、第二公園山長の山川さんからお誘いを受けたからです。
      以前、山形を訪れた際、山川さんには一方ならぬお世話になり、
      またその後、東京でお会いした折には、旧知の友人のように酒を酌み交わしました。
      私にとって、とても大事な友人であり、尊敬できる麺類店の先達でもあります。
      そんな山川さんから、「みそ煮込みの講習をしてほしいので、山形へ来てくれないか」と言われれば、
      一も二もありません。
      前回、往復10時間の移動に嫌気がさして、二度と訪れることもないだろうと思っていた山形へ、
      一年もしないうちに再び訪れることになりました。

      土曜日の仕事を終え、片付けもそこそこに、15時発の新幹線に飛び乗り、
      20時に山形へ到着しました。
      そして、迎えに来ていただいていた山川さんと一緒に、第二公園山長へ。
      山形駅から車で5分くらいの交通至便な場所にあります。
      100年を優に超える歴史のある店です。

      事前に送っておいた、みそ煮込みの麺と、だしと、味噌、具材、そしてきしめんの用意を確認し、
      準備にかかります。すると、次々に山形県青年会員の皆様が集まっていらっしゃいます。
      遠い地域からも、割と早い時間にも係わらず、お集まりくださいました。
      総勢15名以上の方にお集まりいただき、
      真剣な試食、そして熱のこもった質疑応答など、意義深い会になったと思います。
      私も、交通費や宿泊費を出していただいている以上、きちんと身のある講習にしたいと、
      張り切って講習しました。お見せできるものはすべてお見せしたつもりです。
      願わくば、山形で角丸のみそ煮込みからヒントを得た商品ができるといいと思います。

      そして、講習会終了後は懇親会。
      ビールと赤ワインと焼酎、そして、山形青年会の若手の面々。
      実はこちらがメインのような雰囲気で、山形の夜は熱く更けていきました…。
      (続きます)



6月30日 今日はとても暑い中、たくさんの方にお運びいただきありがとうございました。
       蕎麦を目当てにお越しくださった方も多くいらっしゃいましたが、12時30分ごろ、
       売り切れてしまいました。
       土曜の割に、多く用意していたつもりでしたが、読みが甘かったです。
       なるべく売り切れがないように、したいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

       ●

       いつも、このHPを書くときは、限られた時間でダァーッと書き、
       読み直しもせず、推敲もせず、そのままアップしてしまいます。
       ちゃんとやろうとすると、時間がかかり過ぎて、更新が減ってしまうからなのですが、
       改めて、前回の文章を読み直して、言い足りない部分がありましたので、
       補足します。

       値段が極端に安いものについて。

       某偽装牛肉会社の社長の言葉ではありませんし、あの方の肩を持つ気はさらさらありませんが、
       極端に安いものは、難があることが多いようです。

       私もこういう外食産業の一端を担う人間ですから、
       世の中には、私など想像もつかないような手抜き食材がたくさん存在する事を知っています。
       安く、見栄え良く。
       本来の味は度外視。科学的に分析した味を、化学調味料で再現する。
       身体のことなど、知りません。
       残念ながら、そういう食材は多数存在します。

       結局、無理なものは無理です。
       一皿100円で、質のいいマグロを出すのは無理です。
       100円のうどんで、きっちりしただしを使うことは困難です。
       3〜400円で、見た目豪華な弁当を買うことはできます。
       中身まできっちりしたものは無理です。
       無理なのに、その値段でやろうとする。
       そうすると、どうなるか、答えは火を見るより明らかですよね。
       中には、開店セールなどで、原価割れでやっている場合もあるでしょうが、
       極端に安い品には手を出すべきではありません。

       もちろん、食の安全は最優先されるべきことで、
       不安な食品の存在を認めるようなことを言っている場合ではないのは分かりますが、
       それでも、不心得な者は必ずいます。どの業種にもどの役職にも必ずいます。
       安く見栄えだけは良い商品を出す業者は必ずいます。
       (そして、誤魔化されてしまう消費者も少なからずいらっしゃいます。)
       値段がいくらだろうとも、安心安全な食品だけの世の中にする、それはもちろん理想です。
       しかし悲しいかな、そううまくことが運ぶとは考えられません。
       現状では、極端に安い値段のついたものは疑ってかかったほうが無難だと、私は思います。



6月27日 連日、牛肉製品の偽装問題が大きく報道されています。
       正直、うんざりします。
       ただ、私は以前書いたことがあるように、基本的に米屋と肉屋は信用していません。
       もちろん、良心的な経営をなさっている方も多くいらっしゃることと存じますが、
       不幸にも、今までの経験上、あまりいい思いをしておりません。
       誤魔化そう、利幅を大きく取ろう、というのが日常化している業界だというのが、正直な感想です。
       対抗するには、とにかく吟味すること、少しでもおかしければ文句を言い返品すること、
       複数の業者と付き合うこと。
       あそこの店はうるさいな、誤魔化せないな、そう思わせるしかないと私は思っています。

       今日は、その会社の、ちょっとおかしな社長のお言葉、
       「半額セールを買うほうにも問題がある」発言に関して、ひと言。
       もちろん、あの社長をかばうわけではありませんが、
       最近の値段の付け方については、疑問点もあります。

       ●

       最近、非常に高価な食材を眼にします。
       どうしても高価になってしまうものもあるでしょうが、戦略的に高い値段をつけているものも
       多いように感じられます。
       要するに、高いものイコール品質のよいもの、という図式を利用して商売するそうで、
       べらぼうな値段をつけても、売れてしまうそうです。
       反対に、こんな値段でこんなことができるだろうか?と首を傾げたくなるような安価なものもあります。
       きっと、何らかの細工があるのでしょうね。
       今のご時世は、とても安いか、とても高いか、その両極端が売れていて、
       中間的な値段が苦戦しているそうです。
       でも、果たして値段って、そういうふうに決まるものなのか、疑問に感じます。

       例えば、(最近蕎麦の話が多くて恐縮ですが)角丸の蕎麦は、非常に高価な材料を使っています。
       同業者と話をしていて、蕎麦粉の値段、だしの値段、盛るグラム数を明かしたところ、
       「それを3桁で売っていては駄目だ」と言われました。
       そうなのかも知れません。1200円くらい付けたほうが箔がつくのかも知れません。
       でも、私は手軽に食べてもらいたい。
       650円でも損はしません。利幅は薄いですが、ちゃんと利益が出ます。
       私は、適正な値段だと思っています。(値打ちだとは思いますが。)
       みそ煮込みだって、適正価格を守りたい。
       大衆食であるうどんや蕎麦を、気取って出したくないのです。

       高い値段をつけているから、高級ではない。
       安い値段がついているから、お値打ちではない。
       当然ビジネスですから、儲けたいのは誰でも同じですが、うーん。
       ちょっと気負った言い方ではありますが、値段は心意気って部分もあると思っています。
       この値段だから、この程度、という発想でなく、この値段に誇りを持って、どこまでやれるかだと思います。
       原価を厳密に計算して、仕入れ値を減らすのも経営努力でしょうが、
       多少原価がかさもうとも、美味しいものをお出しして、
       少しでも多くのお客様にお運びいただきたいと思って、私はやっています。
       値段だけで判断されるのは悲しいものがあります。
       中身を吟味していただいて、値段を判断していただきたく思います。
       高い値段の店には負けません。

       それに、角丸は幸い持ち店舗です。家賃が要りません。
       そのぶんも、お値打ちに提供できているはずです。

       うーん、こんなことを書いてしまうと値上げしにくいですね。
       自分で自分の首を絞めてしまっているかな?
       本音は、30年前から値上げしていませんから、せめて消費税のぶんくらい、
       値上げさせて欲しいというのが、実情ではあります。

       ●

       今度こそ、山形の話をたっぷり書きます。
       マスコミにも、書きたいことがあるんですが。


6月19日 今日は蒸し暑かったですね。
       いよいよ名古屋の梅雨らしくなってきましたが、明日はもうひとつ暑いそうです。
       暑いときには暑くなきゃ困る、それも確かですが、お手柔らかにしてほしいものです。

       ●

       去る16日17日と、山形へ行ってまいりました。
       16日の仕事を終えてすぐ、新幹線に飛び乗り、20時に山形へ着き、
       山形青年会のメンバーにみそ煮込みの講習、そして、懇親会。
       翌日、山形青年会長の山川さんの店で食事をして、帰ってきたのですが、
       非常に刺激を受けました。
       この件に関しては、近いうちにたっぷり書きたいと思います。

       ●

       先週から、蕎麦を新しくしまして、はやい方だと、もう2度か3度、ご注文をいただいております。
       今のところ、文句もなく、胸を撫で下ろしている次第です。

       今回の変更点は、つゆの味と、蕎麦粉の質、それだけではありません。
       海苔をかけずにお出しするようになりましたし、猪口には予めつゆを入れずにお出しするようになりました。
       今日は、どうしてそうしたのかについて、書きます。

       まず、海苔の件。
       海苔って意外と匂いの強いものです。
       磯の香りは強烈で、黒っぽい蕎麦ならともかく、白い淡い蕎麦の風味は繊細なので、
       海苔の香りに負けてしまいます。
       海苔をかけたものを、種物と考えるならまだしも、蕎麦をそのまま味わう、せいろという供し方に、
       まったく合わないものなんじゃないか、とかねてより思っておりました。
       今回、せっかく、儚いイメージの蕎麦をお出しして、その味を邪魔しないつゆを添えたので、
       あとは何も要らないのが、正直なところです。
       正直言うと、山葵だって合わないと思っているくらいです。
       ゆくゆくは、辛み大根を薬味として、山葵も無くしたいと思っているのですが、
       そこまでの勇気が私にあるでしょうか?
       (山葵を合わせるなら、食べる途中で、山葵を少量、直接舌の上に乗せ、
        フレッシュな風味を取り戻して、改めて蕎麦を食べる、というのが正解だと、私は思っています。
        辛みとしては、意外と、唐辛子がよく合う上に、蕎麦を殺しません。)

       猪口を空で出す件。
       こんな面倒くさい、と思われるかも知れませんが、
       ご自分で猪口に必要量を出してもらう場合、つゆが薄まっても注ぎ足せば、
       ずっと同じ味で楽しめます。
       猪口に入っていた場合、そうは行きません。
       それに、蕎麦には、大事な蕎麦湯があります。
       蕎麦湯を楽しむときに、つゆがたっぷり猪口に残っていては、台無しです。
       自分で加減できる、これが最大のメリットと考えます。
       ちなみに、今回、おつゆに高価な本枯れ節を使用しています。
       冷たい状態では分かりにくいと思いますが、蕎麦湯を足していただけると、
       封じ込められた香りが、ふわりと立ち上がると自負しております。

       どちらも、角丸オリジナルというものではなく、
       蕎麦文化圏では当たり前のことです。
       私自身、海苔なしで、猪口が空で出してもらったほうが嬉しいので、そうしたまでです。
       ただ、これは名古屋では馴染みがないと思います。
       だからきっと、説明が必要だと思います。

       でも、きっとお客様のほうが意識が進んでおられることと思います。
       先日、名古屋手打研究会の役員会に出席した折も、
       名古屋でうける蕎麦は、うどん風のつなぎの多い蕎麦だ、という話になりました。
       果たして本当にそうなのか、私は疑問に思います。
       転勤などで、人の行き来が多く、東京名古屋間が、1.5時間で結ばれる時代に、
       そんなに好みが違うことがあるのでしょうか?
       蕎麦専門店が数多く出店し、しかも、うまく営業している(ように見える)のに、
       そんな風に考えていていいのでしょうか?
       ひょっとして、「名古屋の人の好む蕎麦は」ではなく、「名古屋の中で、
       うどん屋の蕎麦を注文する人は」の間違いなのではないか、そう考えると、ひやりとします。
       少なくとも私は、麺に関して負けたくない。
       うどん屋も、考えを改めないと、いけない時代なのかも知れません。
       太い鉄板スパゲティーを売って、アルデンテに背を向けているようなものなのかもしれません。

       ●

       次は山形のことをじっくりたっぷり書きます。
       前・後編になるかも?

       今から、愛知県青年会主催の、業者さんとの懇親会に行ってきます!
       こちらもそのうち書きたいと思います。

6月9日 私はかつて、組合で自嘲気味にこう発言した事があります。
      「蕎麦を売ろうと思ったら、竹を植えて、庭を造ればいい」と。
      大したことがない蕎麦を出しながら、なぜか流行っているお店があります。
      いかにも風流な店構え。値段も高い。そして、子供連れお断りなんて書いてある。
      雰囲気で食べさせて、お金を貰っているわけです。
      ずいぶん昔に書いた信州蕎麦屋もその範疇ですね。子供お断りではないですが。
      でも私は、そういう類の蕎麦専門店に負けたくない。

      ●

      前回、「月末には…」と書きましたが、いまだ新しい蕎麦つゆに切り替わっていません。ごめんなさい。
      というのは、このきっかけで、蕎麦粉も見直してみようと思ってからです。
      コアな角丸の蕎麦ファンの方は、最近、いろいろな種類の蕎麦が出ていたことに気付かれたはず。
      そうです、ずっといろいろな蕎麦粉を試して、ブレンドしては試してを繰り返してきましたが、
      ようやく、これだ、と思えるものに出会うことができました。
      6月14日木曜日、新しいつゆと新しい蕎麦でデビューします!

      ただ、原価が跳ね上がってしまいました。
      名古屋の一般的なうどん屋の使う蕎麦粉より、今まででも倍くらいの値段の粉を使っていましたが、
      今度のは、さらにその倍です。北海道幌加内産、石臼でざらりと挽いた粗引きの白めのものです。
      透明感が違います。
      だしだって、今まででも1.5倍くらいのものでしたが、今回ざるつゆに使うだしは、
      一本釣りの本鰹をカビ付けした本枯節で、角丸の今までのものの2倍以上の値段です。
      ただ、今までずっと勉強してきたことを、すべて注ぎ込んだ蕎麦は、自信の仕上がりになりました。

      海苔をかけずに、650円に定価を改訂いたします。ご了承ください。
      海苔は今回の蕎麦に必要ありません。邪魔になります。
      大根おろしを付けようとも思っていましたが、それも必要ありません。
      純粋に蕎麦の風味を味わってください。

      50円余分にいただいても、原価の上がり幅は、それでは済みません。
      利幅は小さくなりました。
      でも、これは私の挑戦です。
      手軽な値段で楽しめてこそ、麺類店。
      高級ぶった蕎麦専門店に、負けないだけのものはお出しします。
      蕎麦で負けなければ、うどんもきしめんも煮込みも置いている、従来のうどん屋が勝つはずです。
      竹も庭も石畳も無い、天ぷらも充実していない角丸で、どこまでやれるのか。
      入魂のざる蕎麦をお出しします。
      この値段でここまでやれる、そして、蕎麦だって専門店に負けない、
      名古屋のうどん店へのメッセージでもあるつもりです。
      6月14日木曜日です。




5月12日 3月17日のこのページで紹介した、みのぜんの杉山さんにお会いしたら、
      「HPに私のことを書いたらしいね」と言われました。
      杉山さんは、他のうどん屋さんからその話を聞いたそうです。
      同業の方も、私のHPをご覧になる方が多いようで、緊張します。

      ●

      蕎麦のつゆについて。いろいろ現在の考えを書きます。

      まず、つゆについて。
      お客様から、要望も多くいただきました。
      曰く、蕎麦は美味しいのに、つゆが甘すぎる。
      分かっているんです。自分でも。前にもこのページで書いた事があると思います。
      (探しました。2006年1月28日に書いてます。1年半も経っていたんだ…)
      名古屋の方は、甘いつゆに親しんでいらっしゃる方が多いので、
      すっきり辛めのつゆにすることに抵抗を感じてきました。
      反面、だんだん思う事は、お客様が蕎麦を召し上がる時、
      我々が思う以上に、つゆの味が重要視されているんじゃないかということです。
      極論すると(あくまで極論ですよ)、ある程度のレヴェル以上の蕎麦であれば、
      あとはつゆ次第だという事です。
      そういう味わい方をされるお客様の比率は、決して低くないと思います。

      実際、名古屋風のムロアジと溜まりを使ったつゆは、蕎麦には合わないと思います。
      いろいろ考えましたが、蕎麦だって、私の好きなものをこさえてお出ししているわけで、
      つゆも、私の好きな感じを前面に出す事にしました。
      今のままだと、お蕎麦を好きな方にはつゆが甘すぎ、
      名古屋風のざる蕎麦が好きな方には麺が固くてたべづらい、という、
      いったい、どこを向いているのか分からない状態のように思えてならないのです。

      思い切って、溜まりを使わず(したがって色味は淡い)、
      非常に高価な本枯節を使ったつゆにしようと思っています。
      本枯節を使うことで、蕎麦湯を飲むときの香りが違ってくるはずです。
      少し前から新しい「かえし」を作り始め、その新しい「かえし」が貯まってきました。
      あとは最終の仕上げをして、パートさんが間違えないように、色の違う猪口を用意して、
      そうですねえ、今月末くらいには、お目見えできると思います。
      もちろん、今までのつゆのほうがいい、と仰るお客様にはそちらをお出しします。
      新しい角丸のざる蕎麦は、蕎麦には海苔をかけず、薬味に大根おろしを加えて、
      もちろん新しい、すっきりしたつゆで、お値段を650円に改正したいと思います。
      よろしくお願いします。
      そして、その節には、お客様のご意見をお聞かせください。
      まだまだ、改良の余地の多いものだと思います。
      お客様が、このつゆを育てていただけると、非常にありがたいと思います。
      皆様、どうかよろしくお願いいたします。

      もちろん、肝心の蕎麦のほうも、これからますます吟味して参ります。
      そちらを一新するプランも温め始めています。

      その他、夏メニューとして、あとひとつふたつ、新メニューを導入する予定です。
      こちらのほうも、よろしくお願いいたします。


4月28日 随分更新をサボっていました。
      その間の連絡です。

      まず、牡蛎入り、今年もたくさんのご注文をいただき、ありがとうございました。
      今シーズンの扱いは終了しました。

      GWの営業ですが、暦通りの営業となります。よろしくお願いいたします。

      またちゃんと更新します。
      書きたい事はたくさん溜まっています。


 
3月17日 去る15日、幕張まで、FOODEX JAPANの視察に行ってまいりました。
       日本で最大の、食材の展示会です。
       毎年秋に催される、外食産業フェアを、愛知県麺類組合が担当する事から、
       その委員として、行ってまいりました。
       何より、その規模の大きさには驚きました。
       外食産業フェアの10倍はあろうかという規模です。
       そして、その熱気。参加者の熱気と、出展者の熱気が相まって、
       言い表しがたいエネルギーを放っていました。
       フェア自体の視察もしましたが、もちろん角丸の新メニューになり得るものも、
       一生懸命探してまいりました。
       3つくらいはお土産を持って帰る事ができたと思います。
       夏には、今回のお土産を基に、新メニューを出しますので、乞うご期待!

       ●

       フェアの視察も大変勉強になりましたが、
       道中も麺類店の諸先輩とご一緒でき、お話を伺う事で、大きな勉強をさせていただきました。
       中でも、東郷町和合の、153広場の「みのぜん」を経営なさっていらっしゃる、
       杉山さんのお話には感銘を受けました。
       この方は、この地区で特に有名な某スーパーで、役員までされていた方で、
       ある時に脱サラして店を始められた方です。
       やはり、普通のうどん屋とはいささか違った考え方を持っていらっしゃって、
       非常に勉強になる部分がありました。
       (なにしろ名古屋・東京の往復ですから)随分長い時間、お話を伺いましたが、
       特に2点、私は考えを改めようと思いました。

       ひとつは、限界を設定しない事。
       麺類店の店主は、自分が一生懸命やって、店が軌道に乗り、
       例えば年間に5000万円売り上げるようになると、「こんなものでいい」と思う方が多いそうです。
       確かに5000万円は大きな数字で、麺類店として充分にやっていけるでしょう。
       でも、5000万円売ったなら、次は7000万円を目指す。7000万円売ったなら、次は1億円を目指す。
       大阪の回転寿司は、1店舗で6億円売るそうです。
       どこまで売っても、もっと売り上げを伸ばす努力をしなければ駄目だ、というお話でした。

       もうひとつは、接客に関すること。
       好きな人にプロポーズする時のように、お客様に接しなさい、と仰いました。
       タイミングをしっかり考えて、好感をもってもらえるように努力して、そういう接客をしているか。
       従業員に対しても、同じ事だと仰いました。
       マニュアルでなく、お客様を心から大事にするように。
       それが自然にできて、やっと一人前だそうです。
       気をつけて、いい接客ができているうちは修行が足りない。
       自然と、気が付いたら頭を下げていた、そうならなければいけない、と。
       それを伺った時、私は恥しくて、情けなくて、正直、消え入りたいほどでした。
       修行が足らないどころか、修行の出発点にさえ立っていない自分に気が付いたからです。
       これまで、ずっと味こそが最大のサーヴィスと思って、よりいい味を追求してきました。
       より手打技術が向上するように。よりいいだしが出せるように。
       それが良くなかったとは決して思いません。
       人生のある時期、脇目もふらずに味だけを考えた期間は、私の一生の財産になり得ると思います。
       ただ、かなり疎かになっていた分野があることに気付きました。

       職人的な考え方に染まり、商売人の基本ができていなかったことを情けなく思います。
       いい気になっていたのかな、とも思います。
       俺のうどんはうまい、と独善的になっていたのかな、とも思います。
       接客が大事だ、従業員教育が大事だ。分かっているつもりで分かっていなかった。
       考えてみたら、「わか松」の服部さんも、いつも接客の大事さを訴えておられた。

       気が付いた以上、改めます。
       パートさんと一緒に、居心地のいい接客のできる店を目指します。
       美味しいものをお出しする、これは当たり前のこととして、もう一段階上の角丸を目指します。
       なにぶん修行の足らない私ですから、そう申し上げておきながら、
       また不快な思いをさせてしまうことがあるかもしれませんが、深く深く、心に刻みます。
       うどん屋をやって今日でまる11年。明日から12年目です。やっとスタート・ラインです。
       杉山さんには、本当に感謝します。

       最後も、杉山さんの言葉で締めくくります。
       「僕はかつて行商していた。だから、雪の日も雨の日も自分で出向かなければ
       お金にならなかった。でも食べ物屋さんはお客さんがお金を持って来てくださる。
       雨の日も雪の日も。そう思えば、自然とありがたい気持ちになれるでしょう。」




3月13日 今年の冬は寒いと思っていたら、春になってやたら寒くなっていますね。
       みそ煮込み屋としては歓迎すべき事ですが、風邪をひいてしまいそうですよね。

       ●

       最近、有料取材のお電話を多くいただきます。
       要するに、タイアップで、広告を掲載する(そうでない場合もあります)代わりに、
       店の紹介記事を書きますよ、てなヤツです。
       このページをご覧下さっている方ならお分かりでしょうが、当然、すべてお断りしています。

       仮にもですよ、雑誌で「美味しい店」として紹介するのに、
       スポンサー優先なんてことがあるんでしょうか?
       見識を疑います。
       何より私が驚くのは、こういった感じのものが、減るどころか増えている事です。
       時代に合っていないように思うのは、私だけでしょうか?

       あまり、グルメ情報には期待できません。
       かといって、口コミ情報ってのも眉唾なことが多いです。
       結局、自分の舌しか信用できません。
       そう言ってしまうと、見も蓋もありませんが。

       クーポンの要請も増えています。
       私自身、宴会の幹事の時なんかに重宝する時もあるのですが、
       角丸でクーポンを出す気にはなりません。
       売値に、自信があるからです。
       クーポンを出す店の中には、値引き分、予め高く値段設定している店や、
       クーポン使用の際に、質を落とす場合もあるそうです。
       本当に美味しい、良心的な店に行きたければ、
       そうでない店を探すほうが、確率がいいのかも知れません。
       (あくまで確率です。クーポン店にもいい店はありますし、そうでない店にひどい店もあります。)

       情報に踊らされないっていうのは、実は非常に難しい、最近、実感しています。



2月24日 テレビ局の捏造について書きます。

       皆様ご存知でしょうが、「あるある」は、納豆の減量効果について捏造したそうです。
       コメントの日本語訳も勝手に作って、比較データも別人のものだったと言うから、これは論外です。
       まあ、「あるある」の話はあちこちで取り上げられていますので、ここでは割愛します。
       あれはひどすぎますが、よく似た事は、どこの局でも行われています。

       健康に過ごすため、食を考えるならば、様々な食品をバランスよく食べるに限ります。
       ほとんどどんな食品にも(ひどいファーストフードなんかは除きます)、
       探せば身体にいい成分が、ひとつくらい含まれているものです。
       それをことさらに強調するのがテレビです。
       どんなに身体にいいものでも、取りすぎはかえって害になります。
       当たり前ですよね。昔から知られているようなことです。

       減量したいなら、食事量をほんの少し減らして、運動量をほんの少し増やします。
       それを我慢して続ければ、必ず痩せます。
       これこそが、最も効率よく減量する方法です。
       これ以外のアンチョコ的な方法は、すべておためごかしと言っても過言ではありません。

       科学的データなんて、いくらでも都合よく操作できます。
       例えば、有酸素運動をしなければ脂肪は落とせないと思っている人は多くいます。
       運動直後だけを見れば、確かに有酸素運動をしたほうが、より多くの脂肪を燃焼しているでしょう。
       しかし長い眼で見れば、(同じカロリーを消費すれば)有酸素だろうが無酸素だろうが、
       脂肪燃焼量は変わりません。
       運動直後のデータだけを見て、いかにもそれこそが効く方法のように宣伝する、これもテレビ的手法です。
       もっと長い眼で、トータルに考えないと、効くのか効かないのかの判断さえもできません。

       テレビというのは、ひとつのショーです。
       そう割り切って、適当に見るくらいでないと、やってられません。
       プロレスを観て、八百長だと怒る人はいませんよね。
       あれはショーです。
       テレビも同じ事です。
       過剰に期待して、身体に効く情報が満載だと思ってしまうと、裏切られるだけだと、私は思います。
       私も何度か、(期せずして)片棒を担がされました。


2月7日 今年はひどい暖冬ですね…

      喜んでみえる方もいらっしゃるようですが(ゴルフ場とか)、角丸にとっては暖冬は痛手です。
      うんと寒い日のほうが、やはりみそ煮込みは売れますから。
      また、今年は近所のトヨタ自動車さんが名古屋駅前に移転し、その影響もあるように感じます。

      と言うわけで、今年は例年より、多少ゆっくり召し上がっていただけると思います。
      ほとんど、外でお待ちいただくことも少ないかと存じます。
      我々には困る事ですが、お客様には歓迎すべき事かも知れません。

      私にとっても、ここ数年は忙しすぎました。
      毎日の仕事に追われてしまい、勉強や研究が疎かになりがちでした。
      こういう、少し余裕のあるときに、しっかり勉強し、研究し、新たな可能性を探って行きたいと思います。
      そう考えると、ここ数年より暇な状況も、長い眼で見れば角丸にとってプラスになるかも知れません。
      自分の、時間の使い方ひとつだと思います。
      プラスに転化できるよう、そして、もっと美味しい味になるよう、もっと魅力的なメニューができるよう、
      有意義に時間を使いたいと思います。

      次回は、某番組で話題の、テレビ局の捏造について書きたいと思います。


1月24日 連日、あの洋菓子店のニュースが、巷を賑わしています。
      さらに今日は、あの洋菓子店だけでなく、
      あちこちの店から消費期限切れの食材を使ったニュースが入っているようです。
      なんて事だろう、と暗澹たる気持ちになります。

      確かに、自分が丹精込めてこさえたものを、売れなかったからと言って、捨ててしまうのはつらいことです。
      私はいつも、身を切られるような思いがします。
      だからと言って、それを売ろうという発想が、私には理解できません。

      麺類店の仲間と話していた時に、(その店はあまり繁盛しているとは言い難いそうです)
      数が出ないから、どうしても余ってしまう、で、冷凍して保管する、なんて話を聞いたときも、
      私はすごく違和感がありました。
      私も一度試しましたが、生麺を冷凍して使うなんて、とてもお金をいただけるものにはなりませんよ。
      よほど最新の急速冷凍の機械を使えばどうかは知りませんが。
      あまり数が出ないなら、手打で少量ずつ作ればいい。
      手打ができなければ、覚えればいい。練習すればいい。
      どうしても手打がいやなら、機械でも結構。余った分は全部捨てるなりあげるなりすればいい。
      そうすれば、冷凍保存なんてことに気を回さなくても、済みますよね。
      繁盛していないなら、なおさら手打で回せばいいと私は思います。
      数をこなす必要が無いなら、です。私がその店の人間だったら、そうやって営業します。

      結局、古いものをなんとか売ろう、元を取ろうという考えがだめなのだと思います。
      「もったいない」は確かに美徳ですが、お客様を騙すような「もったいない」は言語道断です。
      いいものを召し上がっていただく、喜んでいただく、またお越しいただける、そういういいサイクルに
      乗っかる事が大事で、それまで身を切る思いで捨て続けなければならない、私はそう思います。
      そして、廃棄という決断をする基準も、誰が何と言おうと厳しく持ち続けるべきです。
      (角丸では、これはもう売れない麺と判断すると、従業員などにあげてしまうのですが、
       これのどこがだめなの?とよく聞かれます。誰が何と言おうが、私が駄目と判断したら駄目なのです。)

      あの洋菓子店のニュースを見て、これからも、さらに自戒してやらなきゃな、と思いを新たにしました。



1月13日 そう言えば、新年のご挨拶がまだでした。
      遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
      本年もよろしくお願いいたします。

      ●

      10日、愛知県麺類食堂生活衛生同業組合の、新年祝賀会にお邪魔して参りました。
      長い組合名で、分かりにくいんですが、要するに、麺類店の組合です。以下、親組合と呼びます。
      私が会長を務めているのは、主にその息子たちで構成される青年会のほうです。
      祝賀会の二次会では、親組合のお歴々とご一緒させていただいて、
      なかなか聞けないようなお話を伺い、有意義な時間を過ごせました。
      ああして、先人に学び、引き出しを増やしていく作業が、私には大事な気がします。

      親組合も、昨年、新理事長が誕生しました。
      わか松の服部さんと仰る方で、非常に頭の切れる方です。
      若い斬新な意見を聞きたいと言う事で、私にお声をかけていただくことが多いのですが、
      どちらかと言うと、私のほうが古臭くて、服部さんの新しい考え方に敬服することしきりです。
      せっかく立派な先輩方がいらっしゃるので、貪欲に勉強して、吸収できるものはすべて吸収してやろう、
      そう思っています。

      いざなぎ景気を超えた、などと勇ましい声の多い昨今ですが、なかなか実感は持てません。
      本当に好景気なの?バブルの頃の雰囲気なんて微塵もありませんよね。
      実際人口も減少していて、さらに減っていくそうで、単純に考えても口が減るのですから、
      外食産業の、奪い合いの競争の時代が激化していくのだと思います。
      角丸のような小さな店は、大きな店と渡り合えるだけの競争力を如何に高めていくか、
      それを考えなければなりません。
      大きな店にできて、角丸に不利な点は合理化などです。
      反対に、大きな店にできない、若しくはできにくいことは、手打のような高精度の麺作りだと私は思います。
      これからも、味を第一に、それを競争力に、地道にやって参りたいと思います。

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      本年もご贔屓いただけますよう、お願い申し上げますとともに、
      皆様にとって、良い一年でありますことを祈念申し上げます。